第6回:伝わる話し方の第一歩【後編】

インタビュー/井上さゆり
企画・構成 /高浜希三子

スピーチトレーナー高津和彦(こうず かずひこ)先生に、リモートで伝わる話し方をレクチャー頂くインタビューシリーズです。第6回:伝わる話し方の第一歩【後編】」です。

スピーチトレーナー高津和彦のインタビューレクチャー

高津 次は「自分が動く」について話します。


―― はい。

高津 現状の「決められたとおりに進む会議」に慣れてしまうと、社内ではそれでいいかもしれない。シャンシャンで進められていくお決まりのもので。でも、一歩社外に出ると、営業だとすると、反対派の人を納得させる、受注に結び付ける、これらは、シャンシャンでは進みませんよ。


―― そうですよね!

高津 結果を出すためには、まず自分で考えなきゃ。何を言えばいいか、そしてどんなふうに言うべきか、 自分で手を変え品を変えいろいろやってみる。時間がかかるかもしれないけどやってみる。時間かけても失敗に終わるかもしれない、それは誰にもわからない。 けど、それをやる。


―― 受け身じゃなく、「自分主体」ですね。

高津 そう。こんなこと、じっとパソコンの前に座って最後まで黙って聞いてるような人、そんな人に、いきなり、リモートだからっていってもできるわけはありません。


――  そうですよね。

高津 ある種、このリモート社会になってみて、人と面と向かって話すという機会は結構減った。それで、そうだ、僕は別に話さなくても全然関係ないんだ、そんなこと苦労して やらなくっていいんだ、良かった良かった、そう考えて、そう過ごして、何の不利益もこうむっていない人はたくさんいます。


――  そう、あまり変わりませんよね。

高津 でも、そんな社会の中でも、リモートで新規市場を開拓して、客先の人をまとめて、エリアの異なる人をひとつにしてオンラインプレゼンをやっている人、ウェブでセミナーをやりだした人、 来店いただかなくってもウェブでお客様に商品説明しているお店の人、 実地に対面せずに仕事している人はたくさんいます。


――  それはほんと増えてきてます。

高津 でしょ? そういう人たちは、どうすれば伝わるのだろうか、どこから話を切り出そうか、何言ったら買ってくれるだろうか、 どうすれば口下手でリモートで話せないお客様に口を開かせられるか、日々考えています。


――  そうなんですか。

高津 だからベストスピーカーのリモート講座のドアをたたく人もいらっしゃるのです。


―― なるほど!

高津 この今の「むやみに人とコミュニケーションしちゃダメ!」の社会、それをそのまま言われる通り、家にスッこんで、誰とも会わず、居るだけ会議に画面の前に座ってて、終わって電子印鑑押して、仕事と言えばパソコンでデスクワークだけを毎日毎日黙々とこなしていると、さぁ、コロナが終わって人が街にあふれるようになってくると、その時、あなたは体も心も引きこもった内向人間になってしまいますよ。


――  ドキっ…。

高津 極端ストーリーを展開しちゃったけど。 でもこれはあり得る話です。


―― 可能性大と思います。

高津 コロナじゃなかったら、何とはなしに知らない誰かとも話していたかもしれない。しかし、今この世の中の状況に自然に身をゆだねていると、 結果、「何もしゃべれない人」になってしまうよってこと。


―― 怖いです。

高津 せめてパソコンの前に座っているんだから、人と話す機会がそこに仕事であるんだから、それを積極的に利用して、口を開いて、やるからにはあなたの存在感を出して、相手に良い印象を与えて、リモートでもいいからまた会いたいなと人を思わせるくらいに、そして人を納得、説得できるようになってほしいと思います。


―― はいっ、なんかやる気が湧いてきました。

高津 頑張ってください!!