第7回:伝わる話し方―面接に通るには【前編】

インタビュー/井上さゆり
企画・構成 /高浜希三子

スピーチトレーナー高津和彦(こうず かずひこ)先生に、リモートで伝わる話し方をレクチャー頂くインタビューシリーズです。第7回:伝わる話し方―面接に通るには【前編】です。

第7回:伝わる話し方―面接に通るには【前編】

―― このシリーズも回を重ねて7回目に突入です。
今回はどんな話を聞かせていただけるんですか?


高津 じゃ、最近よく取り上げられる面接について。印象に残る話をしましょう。


―― はい、ぜひぜひ!

高津 これ、リモートレッスン前、リアルレッスンでの話だけど、リモートにも通じる。
大体いつも10人前後での実地講座なんです。少人数制で成果を出すというのがモットー。


―― ですね!ベストスピーカーの一番の売り。(笑)

高津 そう。で、いつもまず最初にビデオ撮りをする。
受講者の一人、A氏。誰もが知ってる秀才大学卒で就職浪人中、再起を目指して受講。
そしてB女史、誰もが知ってる大手損保の採用担当。


―― なかなか興味深い顔ぶれですね。

高津 全員の映像を全員で見て現状分析、良いところ、悪いところを私が客観的に指摘する。
Aさんのビデオを僕が講評した後、Bさんに振った。
「Bさん、採用担当としては、どう?」
するとBさん、「・・・、う~~ん…」 これ、却下、ってことだよね?


―― そうですね。

高津 で、8時間後、トレーニングを終えてアフター映像をみんなの前で順番に撮る。
この時はもう撮影後の全員のビデオ分析と検証は無し。


―― ええ。

高津 僕は聞いた。再び。
「Bさん、Aさん、どう?採用する?」
「ぜひ!!」 
Bさん、間髪入れずの返答。


―― へぇー!。

高津 こういう人が採用されるんです。


―― なるほどっ。

高津 Aさんは8時間のトレーニングで、自分自身の容姿、能力、性格が変わった?
いや、それは僕は教えていない。じゃ、何が変わったのか?
何が変わってBさんに、即、「ぜひ!」と言わせたのか?


―― 何なんでしょう?

高津 それは、相手に対する取り組み方、人への対処の仕方が変わったんです。
相手に関心を持って、自ら関わっていこうとする。
そうなると、「声が変わる」「受け答えが変わる」「姿が変わる」。
積極的、能動的、つまり好印象に。 そうすると、人が見て「ぜひ!」と言うようになるのです。


―― (相づち)

高津 こうなる要素は、みんな誰でもが持っているのです。ただその出し方、見せ方を知らない。
そして自分をNGにしてしまうたくさんの要素も共に持ち合わせている。


―― 要素というと?

高津 はずかしい。嫌われるかも。こんなことを言ってバカだと思われたくない、消極的になる、などなど。


―― なるほど。

高津 NG要素はたくさんあります。
でもNG要素をなくせば良く変わるかというとそうじゃない。 ポイントはもっと本質的なことです。


―― そのポイントは何ですか?

高津 一言で言うと、
「どうすれば、”良い自分”を見せられるか」
「人は、何を良いと思うのか」
これを常に言動に反映させるということに尽きます。


―― そこですね。

高津 もちろん、学力、常識、見識、これらは無いよりはあるほうがいい。
それは皆さん自分自身で学んでください。僕も教えられるけど僕はその分野の専門家じゃない。


―― (うなずく)

高津 僕は、「どう話せば、どう見せれば映えるか」の専門家です。
それを全力で教える!だからみんなにそれを学んでほしい。

【 中編 】に続く