第8回:伝わる話し方―面接に通るには【中編】
インタビュー/井上さゆり
企画・構成 /高浜希三子
スピーチトレーナー高津和彦(こうず かずひこ)先生に、リモートで伝わる話し方をレクチャー頂くインタビューシリーズです。第8回:伝わる話し方―面接に通るには【中編】です。
―― 先ほどのお話は「面接に通る」というレベルなんかを超越してます。 人生そのものにも通じる話ですね。
高津 そうでしょ。 もう一つエピソードを言いましょう。
―― なんでしょうか!?
高津 一度も面接で落ちたことのない人! そんな人がベストスピーカーに来られた。
それは、指導中に本人の言として「わたし、これまで面接で落ちたことありません」と言ってくれた。
―― えっ?なんで!?落ちたことのない人が、なぜ先生のレッスンを受けに来られるんですか?
高津 昇進試験に絶対通りたいということでね。
実はそんな”できてる人”こそが、勉強熱心なんです。「さらに上には上を」、「確実には確実を」を目指すという。
―― へぇ~~! で、どんな人でした?
高津 「なーるほど!納得!」の人です。 この人は落とせない!なと。
僕もこの人なら落とさないと思ってしまいましたよ。
―― どんなところが?
高津 表情がいい。 いつ見てもイイ感じ。
―― (相づち)
高津 受け答えがいい。嫌われず、よいしょせず、自然で、偏っていない。
言葉がいい。余計な敬語が無い。分かりやすい。素直な言葉選び。
文章がいい。基本、短い。考えて声を出す。言葉が止まっても自然。
―― すごい!
高津 反応がいい。期待に応えて、即の時は即、難問は時間を取って。その対応が自然。
―― すばらしい!
高津 思い出しても、もっと言えます。それくらい「記憶に残っている」ということです。
記憶に残っているということは、この人を採りたい、この人の言ってる内容を 採用したいということです。
―― なるほど。
高津 ま、逆に、難点は?と言われれば、 無理して探せば、その人の話に「感動した!」っていうのが無かったかも、という点。
―― 感動を与えるのは絶対、必要ですか?
高津 そりゃ、感動はあった方がいい。 けど、無くても「なるほど!」と思わせればいいのですから。
プレゼン、面接、リモート授業、等々、感動を呼べるかを競うわけではないですから。
多分その人は試験に通ったと思いますよ。
―― (うなずく)
高津 今まで言ってきたこと、それがレッスンでスッとできないという事実、それは、普段がどれだけその点ができてないか、その表れだと思うのです。
―― なるほど。 でも、なぜそんなデキる人がベストスピーカーに来られたんでしょうか?
高津 そりゃヤル気でしょう。 絶対通りたいと。
―― じゃ、先生は一般人はもっとリモートの話し方を勉強しろとおっしゃる?
高津 まあそうだけど。”正しいリモートの話し方”ならね。
僕が思うに、最近の「リモート話し方」、方向性が間違っているんじゃないかと思う。
―― えーっ? それは興味あるお言葉!
高津 じゃ、それは次のセッションで~。