第9回:伝わる話し方―面接に通るには【後編】
インタビュー/井上さゆり
企画・構成 /高浜希三子
スピーチトレーナー高津和彦(こうず かずひこ)先生に、リモートで伝わる話し方をレクチャー頂くインタビューシリーズです。第9回:伝わる話し方―面接に通るには【後編】です。
―― 今、就職面接は「リモートで」ですね。ニュースでもいつも言っていますし。大学の就職課もニュースに取り上げられています。
高津 そう、リモートになる前も、この時期そうだったよね。 で、学生は、リアルリモートに関わらず、就職面接対策で何をやってるかというと。
―― なんでしょう?
高津 志望動機を丸覚する! 「こう言ったらいい」というひな形の文章をひたすら覚える。
―― そういえば、リクルートスーツの学生がノート片手に必死で暗唱している姿を キャンパスでよく見ます。
高津 それが問題なんだなぁ。
―― いけないんですか?
高津 いけないとは言わないけど間違ってる。
―― どこがですか?
高津 一言で言いましょう。 必死で覚えたのはボロが出る。絶対に。
相手は面接のプロ。何百人も面接してきているんです。自分本来のものかどうか簡単にわかりますよ。
―― (うなずく)
高津 反対に、心から出た言葉、とっさに出た内容、自分の元々の信条、それは心を打ちます。
で、それが出るか?ってことなんですよ。 が、出ない。ほとんどの人が。
―― なぜなんでしょう?
高津 まず、思いのない人が多い。 思いがあってもパッと口にできない人が多い。
考えを整理できない人が多い。強くこうだ!って言えない人が多い。
―― な~るほど。
高津 先日もニュースで言ってたこと。大学で面接用のリモートブースを用意しました、と。 それは「音が遮断されてる。照明がクッキリ照らしてくれる。画面の相手に集中できる。」だと。
―― それは大事なことでしょう?
高津 でも、もっと大事なことがある。それは、 相手をしっかり見られる。
相手の質問を理解して即座に答えられる。相手を引きつける。相手に興味を抱かせる。
―― (うなずく)
高津 これが、「正しい、まずやるべきこと」なのです。 環境なんかは、それが出来てからのこと。
また、やるべきことが出来ている人は、環境劣悪でも声がしっかり出せる、暗くても目を逸らさない、自己の考えを言える。
―― そうですね。 まず、「人」ですよね。
高津 クルマのカッコ良い悪いを言う前に、まず免許を取る。その前に「絶対取らなきゃ!」って思うこと。
一発合格するために下調べすること、反射神経養うこと。免許取って両親の仕事手伝って楽させてやろうって強く思うこと。
―― そういうことですよね!
高津 だから、リモート面接の前に、周りといつも面接のつもりで話して、みんなに 「キミと話してると楽しいわ!」って言わせるように日々研鑽することです。
―― なるほど! 日々、トレーニングですね。
高津 もちろん、一方で、自分の専門、その先の未来、しっかり勉強してくださいね。
それは大いに肯定されるべきことですからね。
―― 正しい面接対策、分かりました!